バイブレーショナル・メディスン抜粋2
本書では、さまざまなヒlリングのメカニズムをあきらかにするための探求がおこなわれている。
本書は、健康と病気にかかわるあたらしい思考体系についての総合的な入門書である。
このあたらしい体系では、人間を「相互作用する多次元的なエネルギー系」という視点から検証している。
本書は、われわれの思考や感情がなぜ生理学的変化をひきおこすのか、さらにハーブ(生薬)や花、水などをもちいた単純な治療法がいかにして強力な治療効果をもたらすのかを理解することを目標としており、そのためにあえて従来の医学のパラダイムをおおきく逸脱して議論を展開している。
「波動医学」という名で知られつつあるこの分野を理解するための私なりのアプローチは、研修医および内科医としての二年間におこなわれた代替療法についての個人的調査にもとづいている。
私は、科学と形而上学のあいだのギャップを、つめることを意識しながら、現在の医学体系を基礎としてそのうえに積みあげることをめざしてきた。
医科大学の学生時代から、私は、有害な副作用をもっ強力な薬物の投与やリスクをともなう外科手術よりも侵襲性のすくない(心身に負担をかけない)治療法があるのではないかという思いをいだいていた。
いうまでもなく、薬物や手術は何千もの医学的ニーズにたいして援助と救済をあたえてきたし、数々の疫病を根絶することにも成功してきた。しかし、残念なことに、現在の医療ではいまだに疹、痛緩和治療しか期待できないような慢性疾患が数多く存在している。もちろん私がふだんおこなっている内科的治療でも、そうした方法にたよっていることは事実である。
できれば、外科的治療や薬物という手段をつかわずに治療が進められればいいとつねづねかんがえている。
そして、低侵襲性、低コスト、低副作用という条件をみたし、かつ患者への治療効果がおおきい診断法および治療法を長年さがしもとめてきた。そうした目標がひとつの背景となって、私は「治癒」の本質について研究しはじめたのである。
私なりの結論をここで吐露させてもらうとすれば、やはり、現在の医学的知識体系を拡張して人間の病気をさらにふかく理解し、診断・治療法を改善するためには、波動医学がひじように重要な鍵をにぎっているといわざるをえない。
これまでの医学研究者たちは、病気の背後にあるメカニズムを探究することには多大なエネルギーをさいてきたが、人々が健康を維持するための条件をあきらかにする研究はつい最近緒についたばかりにすぎない。科学者たちは微視的な分子メカニズムに焦点をあてがちであり、そのことによって、よりおおきな全体像をしばしば見失ってしまっていた。また現代医学の主流は、人間を精綴な生物機械とみなすニュートン的世界観にたえず照準をあわせているため、きわめて狭小なかんがえかたにとらわれてしまっている。
波動医学の思想は、人間が肉体、タンパク質、脂肪、核酸以上のものだという独自の展望をもっている。
分子レベルの基質を組織化して、生命をもち、呼吸し、思考する個人を形成したうえに、さらにそれを維持している活発な「生命力」が存在しなかったら、肉体は無秩序な化学物質の山でしかなかっただろう。この生命力は、全生物に生命をあたえる「霊」の一部である。それはいわゆる「機械のなかの幽霊」であり、二十世紀の科学ではまだ完全に把握されてはいない微細エネルギーの独特な一形態である。この霊的な次元はたしかに人間の本質をあらわす一側面ではあるが、医科大学で教えられることはまずないし、それを理解している医師もほんの一握りである。
しかし、霊的な要因は、健康、病気、人間的な生長の基本的性質を真に理解するためには、どうしても老慮にいれなければならない人間存在の一要素なのである。
医師たちが代替医療の妥当性を受けいれるのがこんなにも困難であることのおもな理由は、かれらが物質的身体のみを人間存在の唯一の次元だとみなしていることにある。
人間の物質/細胞システムが薬剤や外科治療といった大ざっぱな分子レベルの治療法をもちいてもたしかにあるていどの影響を受けるものである以上、ホメオパシーで利用されているような極度の希釈物質の治療効果が通常の医学から誤解され、信用されなかったとしても別におどろくに値しない。
ホメオパシーは、大部分の医学研究者がいまだ理解していないエネルギーレベルで作用するものなのである。
しかし、最近になって、科学者たちもからだを制御している生物分子メカニズムに精神が影響をおよぼしうることをようやくみとめはじめた。
医師たちは長いあいだ、胆嚢が胆汁を産生しているのとおなじように脳が「意識」を発生させているとかんがえてきた。
意識はたんに中枢神経系の活動による副産物でしかないとかんがえられていたのである。
神経生理学者たちは以前から、自由意志と意志決定の中枢が脳のどの部分にあるかをさがしもとめてきた。
かれらは、指令をくだす過程に関与している灰白質の領域を同定することはできるかもしれないが、脳内における真の意識の座をみいだすまでには、まだまだ長くきびしい道のりが待っていることだろう。
複雑な生体コンピュータである脳は、神経系に作動方法を教え、どんな活動をすべきかを教えるプログラマーをやはり必要としている。この脳とからだのバイオメカニズムを利用している意識の実体が、人間の「霊」または「魂」である。われわれが霊的領域とよんでいるものは、脳ゃからだとよばれるコンピュータ・ハードウェアに直接フィードバックしてくる、ひとつながりの高次元エネルギー系の一部である。この高次元エネルギー系、あるいはいわゆる微細エネルギー構造は、現代の科学がまだ理解していないものである。じつは代替療法は、行動様式の発現と細胞の生理を制御している、より高次元のシステムにおける異常を是正することによって、しばしば効果をあげているのである。
経絡系、チャクラおよびナlディ系、エーテル体などの高次元システムは、人間の多次元的な構造の一部をなしており、古代から世界中の治療家集団によって記述されてきたものである。
だが西洋の科学では、それらの存在を人体解剖学で証明することができなかったために、エーテル的構成要素にかんする記述は長いあいだ無視されてきた。
結局のところ、顕微鏡下では、いわゆる経絡なるものが発見できなかったのである。
西洋の科学技術が進歩し、現代になってはじめて、微細エネルギー系の存在や、ようやくその細胞系への生理作用の影響が確認できるような段階に達しはじめた。
私は長年の研究をつうじて、微細エネルギー系というより包括的な人間の解剖学的構造を実証するための科学的証拠をつなぎあわせようとしてきた。
人間の生理の本質と、疾患および健康の原因を理解するという科学者たちの目標は、機能をつかさどる多次元的な枠組みを受けいれることによって、はじめて成功するだろう。
私がここで収集した証拠は多様な学問分野と研究者からえられたものであり、その多くの研究は、超心理学およびホリスティック医学の世界の人にはよく知られているものである。そうした現存する研究成果のうえに、私はさらなる洞窓少乞くわえたつもりである。
多くの代替療法の研究は体制的な医学研究者にはなじみのないものであり、かれらはたとえばサイキック・ヒーリングの治療効果の実証に役立つ証拠など皆無であると信じて疑わない。
たいていの医師が代替療法の研究成果を知る機会がまったくないことの理由のひとつは、波動医学的研究に関連して「キャッチ22」の原則が存在するためである。キャッチ22とは「権威ある医学専門誌には、他の権威ある専門誌の論文を参考文献としてあげられないような内容の論文は掲載することができない」という原則である。
すなわち、とかく問題の多いこの分野の研究者はだれひとりとしてオーソドックスな医学専門誌に論文が採用されることがないので、論文を書きはじめるにしても、引用に値するような信頼のおける参考文献などほとんど手にはいらないのである。
かくして、医学専門誌の権威は科学のドグマ主義という「象牙の塔」のなかで無事に守られる。
この本の最大の目的は、人間の微細エネルギー系に影響をおよぽす治療法が、まさに現代医学の延長線上に存在するということを示すところにある。
物理学におけるニュートン的パラダイムは、アインシユタインが提供したあたらしい視点によって大幅に拡張された。
それと同様に、この本は、私が「アインシユタイン医学」とよんでいる原理が「相互浸透的、相互作用的なエネルギー場」という観点から人聞を理解するために、限定つきのニュートン的な「時計じかけの宇宙」という世界観をいかにして超越していくかを示すことになるだろ
人間の拡張された微細エネルギー構造にかんする証拠として私が収集した文献は、ふたつ以上の学問分野にまたがる学際的研究者からえられており、おもに臨床的観察および基礎実験の結果をあつめたものである。
そのなかには他の研究者によってべつの実験室で追試されたものもあるが、それがなされていないものもある。
ひとつひとつの研究をみていくと、その存在を実証しようとしている現象およびエネルギー系の証拠としては、いささか信頼性が低いとかんがえられるかもしれない。しかし、ちいきな色つきのタイルが集まるとおおきなモザイクになるように、それらを集合的にみたときに、よりおおきな像がみえてくるのである。
それは、人間を「多次元的なエネルギー的存在」とみる、巨視的な視点である。
量子力学と高エネルギー粒子物理学の実験のおかげで、素粒子レベルにおいてはあらゆる物質がエネルギーであることがわかっている。
アインシユタイン医学のとる立場は、ニュートン的な人間生物機械論を、ダイナミックに相互作用するエネルギー系としての人間像に転換していくことである。
もし人間がエネルギー的存在であるなら、エネルギーによって直接の影響を受けることはとうぜんである。
通常の医学の世界でも、エネルギーをもちいた治療を模索する努力ははじまっている。がん治療のための放射線療法、体介、痛治療のための電気療法、骨折の治癒を促進するための電磁気療法などは、医学界におけるあたらしい視点にもとづくささやかな進歩にすぎない。波動医学においても、測定可能な一定量のエネルギーを患者に投与することができる。
しかし、そこで投与されるエネルギーの周波数は、従来の検出器で感知できる範囲をはるかにこえているものである。
信じられないことかもしれないが、こうした高次元エネルギーの存在は、有名なアインシユタインの方程式である何HBべから予測されることなのである。
本書の目的は、11年以上にわたるこれまでの調査結果からみちびかれた私なりの考察を読者の皆さんにおつたえすることにある。
私自身は、あたらしい治療科学を確立して人間の病気をふかく理解するための理論的基盤を必要としているこの分野に、あたらしい理解のヒントをもちこむことができたのではないかと自負している。
本書がこれまでとはちがった方法で健康と病気を検討するための刺激剤となり、あらたにおこりつつある科学的探究に参加する探究者にとってガイドブックのような役割をはたしてくれれば幸いである。
私が願ってやまないのは、一般読者もさまざまな領域の医療関係者も、本書を虚心坦懐に読んでいただきたいということである。
なかには、かなり過激な内容の記述もあるかもしれないし、かならずしもすべての読者が納得できるとはかぎらない部分もあるだろう。
読者諸氏には、本書をオープンかつ批判的態度をもって読みすすめていただき、個々の判断で正しいとおもわれる情報なり知識を吸収していただければありがたい。
あらゆる問題への解答を一冊の本で提供することは不可能である。
もちろん、本書の医学モデルは完全なものではなく、あたらしい実験データによって拡張され、修正を受け、変形する必要がでてくる可能性があることはいうまでもない。
そうした検討において重要なのは、実験結果の評価法である。
また、多くの異種分野を統括する治癒の研究施設の設立も真に必要とされており、本書で詳細にふれられている個々のモデルの要素を、そのような施設で研究できることがのぞましい。
私は、学問的な環境で種々の次元における治癒という現象を研究する、治癒研究におけるメイヨー・クリニック研究所のような施設がつくられることを夢みてきた。
そのような施設があれば、あらゆる研究分野からの人材をそろえることが可能になる。
すなわち、医師、看護婦、専任の医学研究者、さらに銭灸師、ヒーラー、生薬療法家、透視診断家、エンジニア、化学者、物理学者などによる学際的研究チームがあれば、人間にともなう微細エネルギーを測定するための実験計画を考案することができ、微細エネルギーの特性が種々の異なる治療によってどのように変化するのかを観察することも可能になる。
施設内には、脳波マッピングやMRIからはじまって、電気銭をもちいた非主流医学の診断装置にいたるまで、ありとあらゆる診断技術がそろうことになるだろう。
治癒の基本的性質を理解し、本書あるいはべつの文献で紹介された治療法の潜在的な治療効果をさぐるために、さまざまな種類のヒーリング・リソース(資源)がもちこまれることになるだろう。
その施設は、あらゆる経歴および専門分野をもっ医師やヒーラーが、実験計画に意見を提案するためだけでなく、たがいに多様な治癒技術を交換するためにやってくるだろう。
また、ヒーラー自身が学び、癒されるためにやってくる場所ともなろう。
かぎられた研究でも多くの治療法の効果が示されてきたように、さらなる発展を達成するために多くの関連病院における臨床治験が開始されるであろう。
それぞれの施設問の連絡を容易にするコンピュータ・ネットワークによって、すべての調査結果がまとめられ、系統立てられるであろう。
関連病院では進行中の研究にかんする調査ファイルへのアクセスが、コンピュータをリンクアップすることで可能になる。
そのようなセンターでは独自に研究雑誌を出版することもでき、やがては引用可能な参考文献として認知され、治癒研究にかんする「キャッチ勾」をなくすことも夢ではない。
興味ぶかいことに、この本でのべられている治療法には、従来の内科的・外科的治療法にくらべて費用がかからず、毒性やリスクも相当低いものが多い。もし医師たちが日々の診療の基本のなかに代替療法をくみいれはじめるようになれば、膨張をつづける医療費を削減できる可能性はおおきい。
私はここで、あらゆる薬物治療、外科的治療の放棄を提唱しているのではない。
そうではなく、代替医療を補完的にもちいることで現在の医療技術の効果がはるかに増大する可能性があるということを主張したいのだ。
薬物治療や外科的治療以外の選択肢として、波動医学が補完的に、しかも反復的・連続的に利用できるようになったとき、医療はようやく変わりはじめることになるだろう。
将来、ホメオパシー治療薬やフラワー・エッセンスがさまざまな慢性疾患に有効であるとみとめられる時期がくるだろうが、それでも大動脈癒破裂の患者の治療には優秀な血管外科医が必要であることに変わりはないのである。
ここでポイントとなるのは、代替療法は、通常の医学では治療が不可能な疾患にも治療がおこなえるということだけではない。
われわれが代替医療の研究を開始すべき理由は、研究を通じて、われわれ自身が進化しつつある霊的な存在であることを学べるからである。
批評精神を失わずに偏見のない態度で本書を評価していただき、本書をつうじて、読者自身が潜在的に無限の治癒と生長の能力をもっ多次元的存在であることをふかく理解していただければ幸いである。
リチャード・ガーバー(医学博士)
一九八七年七月