膀胱炎・慢性膀胱炎・間質性膀胱炎・過活動膀胱
間質性膀胱炎
間質性膀胱炎とは、
膀胱に原因が不明の 炎症がおこり、それによって尿が近い、膀胱や尿道に違和感や痛みがおこる、などのつらい症状がでる病気です。
病気のタイプからハンナ型と非ハンナ型に分かれます。
ハンナ型では、膀胱の内視鏡でハンナ病変と呼ばれる特有の異常がみられます。
難病に指定されているのはこのハンナ型で、その中でも特に症状が悪い方です。
症状
- 骨盤痛
- 尿道痛
- 会陰部痛
- 頻尿
- 残尿感
- 尿量減少
- 排尿時痛
- 排尿しずらい
など、生活の中で、
- 出先でトイレの位置を確認しておかないといけない
- 骨盤痛があると座れなくなる
- 排尿回数が多いと膀胱が痛くなってくる
- 風が体にあたると不快感が強い
等々で人によって症状の出方が違います。
治療(西洋医学)
- 膀胱水圧拡張術
- 膀胱の病変部焼灼術
- 薬物療法(痛み止め、膀胱拡張剤、漢方)
これらの治療がありますが、症状が改善しない方も多くいるため難病指定されている病気です。
当院での治療実績
当院の患者様が間質性膀胱炎の方がいらっしゃっていて長野式で鍼灸治療をしていますが、
- 痛み9割減
- 尿量、普段80ml程が最大180mlほどに増量
- 夜間頻尿回数、1時間に一回起きたり、4,5回だったものが、1,2回に減少
など、明確な症状改善が見られています
過活動膀胱や、高齢のための夜間頻尿なども排尿回数を減らすことに多く成功しております。
長野先生著書抜粋
症例① 女性、65歳、農業
〔主訴〕頻尿、排尿不快感。
〔随伴症状〕足腰の冷え、慢性気管支炎。
〔現病歴〕毎年田植えの時期になると頻尿、排尿後の不快感があり田んぼに入ると増悪する。
〔所見〕脉状は「滑」。【魚際】【行間】【崑崙(】【中極】【大赫】に圧痛があり慢性扁桃炎によるアレルギー性膀胱炎と診られる。
〔処置〕
①扁桃処置。
②慢性気管支炎に対して「C7棘状突起を囲む上下左右四点」と【支溝】に鍼と灸。
③膀胱炎の処置として【至陰】【通谷】【蠡溝】【曲泉】に鍼と灸。
④【中極】に皮内鍼の保定。
〔経過〕遠隔地の為、専ら施灸による治療で約三ヶ月、その間来院すること4回の鍼治療で全症状消失。
〔転帰〕五年来、季節毎に発症していた症状も今回の治療で消失し、次の年は発症せず完全に治癒したものと認める。
〔考察〕この様なアレルギー性膀胱炎は毎年同じ季節に発症するので判別しやすい。従って原病巣となりやすい扁桃の免疫力強化が何よりも重要であると同時に、罹患しやすい膀胱粘膜に対してその強化を目的に【蠡溝】の多社灸(31壮) が有効。また膀胱に起凝りゃすい起炎菌による炎症を消す為に【至陰】【通谷】の施灸も重要な治療点である。尚、下腹部膀胱の異和感に対しては【中極】の皮内鍼が著効を奏する。
〔補足〕一度治癒したものであるが、又その季節が来ると体調が低下している場合は再発する恐れがあるので、その季節前一ヶ月位から施灸することを指示しておいた。この様に反復して発症する膀胱炎は、発症する時期が大体決っているので、発症する前から予防として施灸をする心得を持つ様に指導しなければならない。
症例② 女性、61才、農業。
〔主訴〕頻尿、残尿感。
〔現病歴〕1年前より発症し、泌尿器科で膀胱炎と診断され、服薬加療するが効果がなく来院する。
〔所見〕【魚際】【中極】【崑崙】【蠡溝】に圧痛著明。脉状は「細・沈・遅」で病状が長びいていることを現わしている。これは扁桃の免疫力低下により、毒素がリンパ行性あるいは血行性に炎症を遷延化したものと考えられ、慢性扁桃炎による二次感染症としての慢性膀胱炎と診断される。
〔処置〕
①扁桃処置。
②腎機能を活性化する為に【復溜】、膀胱の消炎を目的に【蠡溝】、扁桃の活性化を目的に【支溝】に鍼と灸をする。
③【中極】に皮内鍼の保定。
〔経過〕第1回目の処置から施灸をし、九日目には全症状消失したが、不安感があるので施灸を継続しているという。田植えの時期になると【復溜】【蠡溝】の経穴が水につかるので、【曲泉】に変更して、今も尚予防灸として施灸を続行し発症はみられない。
〔転帰〕治癒。
〔考察〕薬剤に対する不信感が灸に対する信頼感に変ったことが、むしろ治癒につながったものと思われる。一年間も通院しながら何故治らなかったのか原因を挙げれば、
①原病巣として考えられる扁桃処置の不備。
③ウイルスに適合しない抗性物質の投与。
③膀胱そのものの循環障害、粘膜の抗菌性低下。
等である。また【曲泉】の多壮灸も膀胱の炎症を消失するのに有効。
この症例は慢性膀胱炎ですが、間質性膀胱炎も似た配穴で治癒、症状改善することができます。
膀胱炎の場合、菌が発見できれば抗生剤を飲むことで治癒に至りますが、菌が発見できず抗生剤以外の薬飲んでも治らず症状が長く続いてしまうというケースがあります。
膀胱炎をよく繰り返す、症状が長く続いてしまう、ある時期になると膀胱炎になるなどの悩みがある方は是非、鍼灸治療をオススメします。