心因性骨盤鬱血
はじめに、
骨盤内うっ血症候群とは、下腹部に痛みがあるが、痛みの原因となるような器質的な疾患や炎症などの所見が認められない病態を指す。下腹部痛を訴える女性の半数はこの病態に当てはまり、頻度としては決して少なくないが、原因がわからないだけに多くの医療機関では積極的な治療が行われてこなかった。
下腹部に痛みを訴えて来院したが、炎症や器質的疾患がみられない女性74人に内診を行い、骨盤内のどの部位に圧痛があるかを調べた。すると、子宮や卵巣などの部位を押すと痛む人は全体の2割弱で、8割強の人では骨盤壁や腹壁に圧痛を感じていることがわかった。
また、圧痛の部位には左右差があり、左側を痛がる人の方が有意に多かった。「骨盤内の血管は左側のほうが長く、走行も複雑になっているため、左側の方がうっ血が生じやすい」ことを反映している可能性があるという。さらに、痛みが起こるタイミングは、就寝中や起床直後など、長時間じっとしている時に多いこともわかった。
引用ーhttps://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/166696.html
上記の骨盤内鬱血に加えて、心因性とは「疾患などが、不安や恐怖などの心のストレスを主な原因としているさま。」です。
つまり心因性骨盤鬱血とは、ストレスにより下腹部の鬱血が誘発されます。
また、長野先生によれば心因性骨盤鬱血とは「骨盤鬱血症とは主として、性的なあるいは夫婦間、家庭的その他の心因性の情動障害によって心因性自律神経症、または心身症の形で骨盤鬱血が起こるものをいう」と説明しています。
症例
治療前
1月初めに仕事中ぎっくり腰になった。このとき痛かったのは腰部両脇であった。
近くの接骨院に通院してぎっくり腰は良くなったが段々痛みが下に降りてきたのか、尾骨の周りが重だるいような痛いような感じが出てきて毎日重だるいのが接骨院に通うも改善されなかった。
治療
中封
尺沢
商丘
陰陵泉
間使
帯脈
会陽
T11
治療後
治療後とりあえず重だるさ無し、次の日以降尾骨周りの重だるさがどうなっているか次回聴取。
さいごに、
今回の症例はなぜ、尾骨の周りが重だるくなってしまったのか考えたところ、身体の反応も含め骨盤内うっ血の可能性があるとした。
腹部の反応としては左天枢と左大巨に反応がみられた。
これは腹部お血症、つまり「骨盤内の血流停滞反応」である。左の天枢はさらに、「痔静脈鬱血の反応である」
痔静脈鬱血の反応があるときはさらに、尾骨横のツボ「外腰兪」に刺鍼する。
腰を痛めた後になにかストレスになるようなことがあったのか聞いてみたところ「仕事を休まなければならない。誰かに仕事を変わってもらわなければならいのがすごいストレスだった」とおっしゃっていた。
普段ストレスを感じやすいタイプの方ではないのだが、仕事を休むことに関しては結構なストレスがあったようだった。
そのストレスで今回は「腰は治ったが、尾骨周りが重だるい感じになってしまった」のだろうか。