バイブレーショナル・メディスン抜粋1
はじめに
ガブリエル・クーセンス(医学博士) 天文学者アーサー・エディントン卿はこういっている。「まことに、科学を信じる人間が扉をくぐりぬけるの は、ラクダが針の穴をとおるよりもずっとむずかしい。それが納屋の扉であろうが救会の扉であろうが、科学がかかえている問題がすべて解決するまで扉のまえで待っているよりも、自分が「凡夫」であることを素直に みとめて扉をくぐるほうが賢明かもしれない」
リチャード・ガーバー博士は本書「バイブレーショナル・メディスン」によって、われわれが扉を通過して波動医学を理解し、受けいれることをサポートしてくれたばかりか、その扉の先にあるものの検証もしてくれている。本書は波動医学にかんする百科事典的、包括的な解説書である。著者は人間という生命体にかんして、 物質レベルからエーテルレベルにわたる明快なモデルをつくってくれた。そうしてさらに、霊的レベルにおける微細エネルギーの調和という側面にまでふれている。 われわれはこの本を読むことで、人間という生命体が、相互に作用する一連の多次元的なエネルギー場であることを理解できるようになるだろう。このモデルをさらに科学的に発展させ、最近のめざましい臨床的・基礎的研究成果で補強すれば、読者は、いまホリスティック医学の分野で発展している身体性・精神性・霊性を つなぐ言語をいっそうふかく理解することができる。ただし読者は、このモデルが機能的期面を理解するための概念の道具であり、かならずしも真実そのものではないことを忘れてはならない。「エネルギー」もまた概念のひとつである。医学に関心をもっている人たちも、ニュートン的機械論のアプローチもまた二〇〇年前の思考様式にもとづくひとつのモデルにすぎないことを想起さえすれば、アインシュタイン的量子モデルへの移行は抵抗なく進んでいくであろう。しかし、現代医学の主流派がいまだにニュートン的養被論(半世紀まえにそ の不正確さが立証されているが真実であるかのようにふるまっているのは不幸なことである。 ガーバー博士は「肉体/エーテル体接触面」の作業モデルを生みだすという、きわめて卓越した業績をなし とげている。博士はAMI(本山式経絡臓器機能測定器)で検出された経穴の相互関係を巧みに解明し、また、完成度の高いキルリアン写真による画像診断法を駆使して、電気的性質をもつ体内の物質および細胞と情報交換をおこなっているホログラフィックな磁気格子構造がエーテル体から形成さ れていくしくみをしらべている。経格系は、エーテルと物質をつなぐ重要な接続システムなのである。
あらゆる疾患は、物質的身体レベルに発現する以前にエーテルレベルで検出することができる。そうである以上、物質的身体とエーテル体との接点が診断学的にみて重要になるが、本書ではそのことが的確に指摘され ている。疾患をエーテルレベルで発見することができれば、その予防も不可能ではなくなる。ガーバー博士は肉体/エーテル体接触面診断のための科学的手法を詳細に説明することによって、たいがいの懷疑論者も無視 できないほどの説得力をもって、肉体/エーテル体接触面という概念の説明に成功しているのである。
本書に概説されているティラー\アインシュタイン・モデルは、エーテルエネルギ ーを負の時空間に属する超光速の「磁電(ME)エネルギー」であるとのべているが、このモデルは肉体/エーテル体接触面および、物質とエネルギーの一般的な関係にたいして斬新な洞察をくわえるものである。その洞察によって、それらのエーテル・磁電エネルギーの測定が困難である理由も理解できる。すなわち、標準的な正の電磁気的な時空間にたいする選定方法ではそれらは検出できないのである。最近の研究で、生物学的シス テムにおける酵素反応、水の結晶化効果、水分子の水素・酸素結合角の変化を観察することによって、エーテ ル/磁電エネルギーが測定できるようになったことを本書で学ぶのも有意義なことである。
本書は読者の意識を覚醒させ、われわれ人間という生命体がひとつながりの多次元的な微細エネルギー系であり、それらのエネルギー系がバランスをくずせば身体的・感情的・精神的・霊的レベルで病理学的変化があらわれるという結論に、無理なく読者をみちびいてくれる。本書は、微細エネルギーの鋳型(テンプレート) にたいして適正な周波数の波動的治療をおこなうことでバランス障害が回復するプロセスを、詳細に説明して いる。これは、波動医学の基礎事項のなかでもエッセンスとなる部分である。さらにガーバー博士は、人間と いう生命体はバランスを失って脆弱化しているとき、正常状態とは異なる不調和な周波数で振動していること を的確に指摘している。この異常な周波数は、細胞のエネルギーバランスの障害が反映したものである。もし ある人がエネルギーモードを正常な周波数にもどすことができず、バランス回復が不可能なばあい、一般的な、 あるいは個別に調整された治療的な周波数による介人が必要となる。まさにその作業が、波動医学のはたす役割なのである。 本書では、さまざまな波動医学的アプローチの概観がみごとに示されている。とくに興味ぶかいのは、ガー バー博士がそれらの多様な治療法を包活的なモデルに位置づけていく、その方法である。本書は、波動医学にかんする有用な既論であり、波動医学の習得に興味をもつ一般読者および医療専門家のいずれにも理解可能な内容である。
われわれが物質主義的、ニュートン的、機械論的な世界視からアインシュタイン的、量子力学的なホーリズ ム(全体論)へとパラダイムシフトを進めるにつれて、医学も医療従事者もおおいに変化していくだろう。 そして、じつは何千年もまえから人頼とともにあるホリスティックな世界観を、あらためて採用することになる だろう。
治療家がたんに宇宙との包括的関係をかんがえるホリスティックな健康観の持ちぬしであるだけでなく、 治療家自身が調和したホリスティックな生きかたのモデルになるべきであるのはとうぜんのことである。インドのアーユルヴェーダ医師によってそれが積極的に実践されているのを、私はこの目でみてきたし、あるいは夕オイスト(道家)の治療家、アメリカ先住民の治療家、さらにカラコルム山系・フンザの治察家たちがおなじことを口にしているのをこの耳できいてきた。おなじような立場は、西洋文明においても二〇〇〇年以上まえ にエッセネ派の人々によって実践されており、そのなかからは洗礼者ヨハネ、聖職者ヨハネ、そしてもちろんイエスといったヒーラーが生まれている。この伝統的な癒しのわざは、一四〇〇年代ごろ、アフリカ人コンスタンチンの手によって再興された。かれはモンテ・カッシノ修道院でエッセネ派の教義を学び、イタリアのサ レルノ医学校で救えていた。ガーバー博士が理想化してその出現を待ち望んでいるようなヒーラーはこれまでにも絶えることなく出現しており、そのような調和的かつホリスティックな癒しを実践する先進的な治察家は現在でも存在している。政治的権力を握るいかなる医療体制も、そうした人たちの愛と健康への献身的な歩みを止めることはできない。本書はそんなヒーラーをサポートするためのものである。
これらのヒーラーたちに共通する癒しのかたちは、かれら自身の調和と愛にもとづいており、これを理解するのは重要なことである。「ホーリズム」は、現実ばなれした最新の診断法や突出して進歩した癒しの方法によって成り立つものではなく、癒しにかんするあらゆる側面を含む総合的な観点から成り立つものである。それは患者あつめのための断片的な代替擦法の寄せあつめではなく、シンプルで全人的な、多次元的なエネルギー 療法そのもののことなのだ。
本書は、あらたに提唱されている医学的見解の一部を紹介したものであるが、これについてガーバー博士は以下のように記している。「「霊」の存在を否定または無視する現代医学の体系は、いつまでたっても完成することはない。なぜなら、人間存在のもっとも基本的な特質である霊的次元をおきわすれたままだからだ」。拙著『霊的栄養学と虹の日常食』でも詳細にふれているが、ガーバー博士はつぎのようにも指摘している。 すなわち、「われわれの肉体を形成している組織は酸素、ブドウ糖、栄養素だけで推持されているわけではなく、高次の波動エネルギーの供給を受けて成さしている。その供給があってはじめて、生命の諸特性と創造性 の発現をともなう物質的構造が維持されるのである」。健康は微細エネルギー系全体のバランスによって保たれており、それはわれわれのからだにそなわる力と、母なる自然との双方からのエネルギーを受けて維持されるものである。したがって、多くのヒーラーがかんじていることだが、われわれがさまざまなレベルのエネルギーを吸収して調和がとれている状況下では、たとえ本書の第11章で肯定的に言及されているよう なビタミン剤の大量使用でも、システム会体をアンバランスな状態にいたらしめる刺激物として作用する可能性がある。
波動医学は、将来的には米国、ひいては世界中で健康におおきく寄与する医学に発展していくことだろう。 しかし、「健康」は究極的には、波動医学や(将来あらわれるであろう)「ドクター/ヒーラー/聖職者」に依存するものではなく、人々が調和的になり、人生の多様な側面を愛することを学んでいくことが重要である。 自分自身、創造的活動、家族、社会、そして地球の生態系といったすべてを含む生の全体性を生きるとき、永続的なバランスの回復、治療、そしてわれわれ自身の再生がおこってくるだろう。
ガーバー博士がユーモアをこめて指摘しているように、本書を読みおえるとき、読者は自らの意識の「メン テナンス・マニュアル」を身につけているかもしれない。本書の最大の特徴は、ヒーラーや知識層が何千年もまえから知っていた健康にかかわる古典的な知識を強力に支持する、あらたな科学的パラダイム を提供していることである。本書によってもたらされる科学的方法を理解することによって、原子レベルまで細分化されたニュートン的健康観から、分割なしの全体論を基調にした量子力学的アインシュタイン的健康観にむかって、無理なく移行することが可能になる。波動医学に関心をもち、その駅をくぐるまえに奥にあるものを確かめたいとおもうすべての人にとって、本喜は必読の書といえるであろう。
人類が存在の全レベルにおいて、健康・愛・調和の知識をえることを願いつつ。
ガブリエル・クーセンス(医学博土) 一九八七年一〇月
(クーセンス博士はホリスティック医であり、「霊的栄養素と虹の日常業 Spiritual Nutrition and Rainbow Dietの奢者である)